看取り搬送は、通常の搬送とは大きく意味が異なります。
ご利用者様は、人生最後になるかもしれない移動に臨まれます。
私たちはこれまで数多くの看取り搬送に携わってきましたが、ご自宅へ到着した瞬間、ご本人やご家族が涙を流しながら、
「家に帰れてよかった。」
「最後に家へ帰してあげることができた。」
と話される場面を何度も見てきました。
その光景を見るたびに、「移動を支える」という仕事の重みを感じます。
一方で、看取り搬送には急変などのリスクが伴うことも事実です。そのため、搬送をためらってしまうこともあるかもしれません。
しかし、リスクだけを理由に搬送を諦めてしまうことは、ご本人が最後に望んだ時間や場所で過ごす機会を失ってしまう可能性があります。
だからこそ重要なのは、「リスクがあるから搬送しない」か「希望だから搬送する」かという二者択一ではありません。
医師、看護師、退院支援担当者(MSW)、ケアマネジャー、訪問看護、介護タクシー、ご家族など、関係者が事前に十分な情報共有を行い、ご本人の意思を尊重しながら、安全に搬送を実現する方法を一緒に考えることです。
必要に応じて、主治医の治療方針やDNARなどについて事前に確認し、搬送中に起こり得る事態への対応を共有しておくことで、ご本人・ご家族だけでなく、搬送に関わるすべての人が安心して送り出し、迎え入れることができます。
看取り搬送は、「命を運ぶ仕事」ではなく、「その人らしい最期を支える仕事」。
私たちは、ご本人とご家族のかけがえのない時間を大切にし、多職種との連携を通じて、その願いを支えていきたいと考えています。
看取り搬送とは?DNARの確認が重要な理由
ご自宅や施設で最期の時間を過ごす方が増える中、「看取り搬送」のご相談も増えています。
しかし、ご家族や医療・介護関係者の中には、「通常の搬送と何が違うのか」「もし搬送中に容体が変化したらどうなるのか」と不安を感じる方も少なくありません。
今回は、看取り搬送で知っておきたいポイントと、場合によって必要となるDNAR(心肺蘇生を行わない意思)の確認について解説します。
看取り搬送とは
看取り搬送とは、人生の最終段階にある方が、ご本人やご家族の希望に沿って移動するための搬送です。
例えば、
- 病院からご自宅へ退院する
- 病院からホスピスへ転院する
- 施設からご自宅へ戻る
- 最期をご自宅で迎えるために移動する
といったケースがあります。
この搬送は、単に「移動する」だけではありません。
ご本人が安心して過ごせるよう、医療機関・訪問診療・訪問看護・ケアマネジャー・介護タクシーなど、多くの関係者が連携して行われます。
搬送前に確認しておきたいこと
看取り搬送では、通常の通院搬送以上に事前確認が重要です。
確認する内容の例
- 現在の病状
- 医師からの説明内容
- 酸素や吸引など医療的ケアの有無
- 同乗者
- 緊急時の連絡先
- 搬送先で受け入れる医療・介護体制
事前に十分な情報共有を行うことで、ご本人・ご家族とも安心して搬送に臨むことができます。
DNARとは
DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)は、心停止や呼吸停止となった場合に、心肺蘇生(CPR)を行わないという医療上の方針です。
これは「治療をしない」という意味ではありません。
苦痛を和らげるケアや必要な医療は継続しながら、ご本人の意思やご家族の希望を尊重するための重要な意思決定です。
なぜDNARの確認が必要なのか
看取り搬送中に容体が急変する可能性はゼロではありません。
その際、事前に医師の方針やDNARについて関係者間で確認されていないと、
- 救急要請を行うべきか
- 心肺蘇生を行うべきか
- ご本人・ご家族の希望はどうだったのか
という判断が非常に難しくなる場合があります。
そのため、医療機関や訪問診療医の指示のもと、必要に応じてDNARなどの方針を書面で確認し、搬送に関わる関係者が共通認識を持っておくことが大切です。
※DNARの運用方法や必要書類は、地域や医療機関、患者さんの状況によって異なります。
看取り搬送で大切なのは「安心」
私たちは、ご本人・ご家族の思いを大切にしながら、安全で安心できる搬送を心がけています。
搬送前には医療・介護関係者との十分な情報共有を行い、必要に応じて酸素やストレッチャーなどの医療機器にも対応します。
人生の大切な時間だからこそ、「安全に運ぶ」だけではなく、「安心して移動していただくこと」が私たちの使命だと考えています。
ご相談ください
「自宅で最期を迎えたい」
「病院からホスピスへ移動したい」
「医療機器が必要だけれど対応できるだろうか」
このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
医療・介護関係者との連携を大切にし、ご本人とご家族の想いに寄り添った搬送をサポートいたします。

