介護タクシーで通院される方の支援をしていると、よく感じることがあります。
それは、
「診察が終わった=通院が終わった」ではない
ということです。
診察が終わってからも、
会計を待つ。
処方箋を受け取る。
薬局へ移動する。
薬ができるまで待つ。
介護タクシーに乗る。
自宅へ帰る。
という流れがあります。
ご自身で歩いて移動できる方なら、それほど大きな問題ではないかもしれません。
しかし、車いすを利用されている方や、長時間座っていることが難しい方、介助が必要な方にとっては、この「診察後の時間」も大きな負担になることがあります。
薬局で30分待つと、介護タクシーも30分待つことになる
介護タクシーを利用している場合、もう一つ考えなければならないのが「待機」です。
診察が終わり、病院から薬局へ移動する。
薬局で処方箋を出して、
「お薬ができるまで30分ほどかかります」
となった場合、その間、介護タクシーにも待ってもらうケースがあります。
当然、その時間は利用者さんの拘束時間も長くなります。
事業者の料金体系によっては、待機時間によって利用料金が増える場合もあります。
さらに介護タクシー側も、その後の予約が入っていれば、ずっと待機できるとは限りません。
では、この待ち時間を減らす方法はないのでしょうか。
薬局の方から聞いて気づいたこと
2026年9月19日に開催した「移動サポートネットワーク(ISN)」の定例会に、薬局を経営されている方が参加してくださいました。
そこで薬局の立場からお話を伺っていて、私たち移動支援側だけでは気づきにくい視点がありました。
それが、
「その薬、本当に今日その場で受け取らなければいけないのだろうか?」
という視点です。
もちろん、薬の種類や残薬の状況、処方内容、体調などによって異なります。
すぐに服用を開始しなければならない薬もあります。
一方で、薬剤師などに事前に相談し、手元の薬に余裕があり、処方や受け取りの条件に問題がなければ、当日その場で長時間待つ以外の方法を検討できる場合があります。
たとえば診察当日は病院からそのまま帰宅し、薬については薬局と相談のうえ、別の日に受け取る方法などです。
そうなれば、
病院
↓
薬局
↓
薬ができるまで待機
↓
自宅
ではなく、
病院
↓
自宅
という移動にできる可能性があります。
「薬局で待つのが当たり前」を一度考えてみる
これは、単に介護タクシー料金を安くするという話ではありません。
利用者さんの負担を減らすという意味でも重要です。
朝、自宅を出発して病院へ行く。
受付をして、検査をして、診察を待つ。
診察が終わったら会計を待つ。
それだけでも、高齢の方や体力が低下している方にとっては長時間の外出になります。
そこからさらに薬局へ行き、薬ができるまで待つ。
「私たちにとっての30分」と「体調が優れない方の30分」は、同じ30分ではありません。
だからこそ、
どうすれば外出時間そのものを短くできるのか。
ここまで考えることも、移動支援の一つではないでしょうか。
介護タクシーだけでは解決できない
今回、改めて感じたのはここです。
介護タクシー事業者だけで通院について考えていると、
「どうやって病院へ運ぶか」
「何時に迎えに行くか」
「帰りの車をどう手配するか」
という発想になりがちです。
しかし薬局の方と話すと、
「薬をどう受け取るか」
という別の視点が加わります。
さらにケアマネジャー、医療ソーシャルワーカー、看護師など、それぞれの専門職から見れば、また違う方法が出てくるかもしれません。
だからこそISNでは、介護タクシー事業者だけではなく、移動に関わるさまざまな職種の方と一緒に考えることが大切なのだと思います。
通院支援は「車に乗せること」だけではない
私たちが考えたいのは、
「病院までどう運ぶか」
だけではありません。
自宅を出てから、
受付、診察、会計、薬局、そして帰宅するまで。
一連の外出をどうすれば安全に、そして利用者さんの負担を少なくできるのか。
そこまで考えることが、本当の意味での「移動支援」なのではないでしょうか。
今回のISN定例会では、薬局という別の立場からお話を伺ったことで、私自身も新しい気づきがありました。
介護タクシーだけで考えていたら、出てこなかった発想かもしれません。
異なる職種が一つのテーブルで話す。
すると、それまで「仕方がない」と思っていた待ち時間や移動にも、別の選択肢が見つかることがあります。
これも、移動サポートネットワークでつながる意味の一つだと考えています。
※薬の受け取り時期や方法は、薬の種類、処方内容、残薬、患者さんの状態、薬局の対応などによって異なります。自己判断で服薬や受け取りを変更せず、医師・薬剤師などに確認してください。

