介護タクシー事業者のお金に関する管理方法は、事業規模や地域、取引先によってさまざまです。正解は一つではありません。
この記事では、私自身が介護タクシー事業を運営する中で経験したことや、現在実践している方法をもとに、「こうしておいて良かった」と感じている内容をまとめました。
すべての事業者に当てはまるものではありませんが、これから開業される方や、現在の運営方法を見直したい方の参考になれば幸いです。
概算料金を事前に伝える
私の会社では、通常の搬送では予約完了時に電話•FAXまたはメールで概算料金をお知らせしています。
搬送後には搬送レポートを作成し、実際にかかった料金をなどをご報告させていただくこともあります。
もちろん、この方法がすべての事業者に適しているとは思っていません。事務作業も増えますし、事業規模によっては現実的ではない場合もあります。
それでも、事前に料金の目安をお伝えしておくことで、ご利用者様やご家族にも安心していただけることが多いと感じています。
長距離搬送や貸切では請書を作成する
長距離搬送や貸切など、料金が高額になるケースでは請書を作成しています。
契約内容や料金について事前に双方が確認することで、「思っていた内容と違った」というトラブルを防ぐことができます。
通常の搬送まで請書を作成する必要はないと思いますが、高額になる案件では記録を残しておく意味は大きいと考えています。
個人のお客様への後払いは慎重に
私が特に慎重になっているのは、個人のお客様への銀行振込による後払いです。
実際に、料金を回収できなかったケースを経験しました。
もちろん、ほとんどのお客様は誠実にお支払いいただけます。しかし、ごく一部でも未回収が発生すると、その損失は決して小さくありません。
後払いを認める場合は、支払期限や方法を事前に明確にしておくことをおすすめします。
それでも連絡をしてもお支払いいただけない場合には、内容証明郵便を送付しておくことで、督促した記録を残すことができます。
法人とは契約を結び月次請求にする
病院や施設など法人との継続的なお取引では、業務委託契約や提携契約を締結し、月単位で請求・お振込みいただく方法が管理しやすいと思います。
毎回請求書を作成する手間も減り、お互いの業務効率化にもつながります。
「概算」と「見積もり」は違う
ここは意外と見落とされやすいポイントです。
私は「概算料金」としてご案内しています。
もし「見積もり」として金額を提示した場合、その金額を超えてしまうことでトラブルになる可能性があります。
交通状況や待機時間などによって料金が変動する可能性がある場合は、
- あくまで概算であること
- 状況によって料金が増減する可能性があること
を事前に説明しておくことが大切です。
領収書には明細を付ける
領収書やレシートには、できるだけ明細を記載することをおすすめします。
合計金額だけでは、
「何にいくらかかったのだろう」
と、お客様が不安になることがあります。
例えば、
- 基本運賃
- 距離運賃
- 時間制運賃
- 介助料
- 高速道路料金
- 有料道路料金
- その他オプション
など、内訳を記載しておけば、お客様にも納得していただきやすくなります。
後日お問い合わせをいただいた際にも、すぐに説明できる体制を作ることができます。
一度でも「説明できない」という状況になれば、お客様との信頼関係に影響することもあります。
売上は必ずデータで管理する
私は、数字は事業の健康状態を表すものだと考えています。
難しい経営分析をする必要はありません。
まずは、
- 毎月の売上
- 毎月の入金額
- 毎月の口座残高
この3つを継続して記録するだけでも、事業の変化が見えてきます。
また、個人事業であっても、生活用口座と事業用口座は分けておくことをおすすめします。
将来法人化を考えている方にとっても、資金の流れを把握しやすくなり、経営管理がしやすくなります。
おわりに
介護タクシーの仕事は、ご利用者様を安全に目的地までお送りすることだけではありません。
料金の説明や請求方法、売上管理といった経営面も、事業を長く続けていくためには欠かせない要素です。
今回ご紹介した内容は、法律や制度を解説するものではなく、あくまでも私自身が現場で経験し、現在も実践している一つの方法です。
地域や事業規模によって最適な運営方法は異なると思いますが、「こういう考え方もある」という視点で参考にしていただければ嬉しく思います。
モビリティケア研究所では、これからも現場で培った経験や失敗、改善の積み重ねを共有し、介護タクシー業界全体の発展につながる情報を発信していきます。

