医療や介護、福祉の仕事をしていると、「困っている人を何とかしてあげたい」という気持ちで行動することがあると思います。
「知り合いに信頼できる事業者がいるので紹介しますね」「急ぎの依頼なので、先に手配しておきます」「ご家族が困っているので、今回だけ特別に対応しましょう」
どれも相手のことを思っての行動ですし、こうした助け合いによって支えられている現場も少なくありません。
しかし、その親切が思わぬトラブルの原因になってしまうことがあります。
紹介した事業者の対応に問題があり、紹介した側にまで苦情が寄せられる。電話で伝えた料金と実際の請求額が違うと言われる。良かれと思って共有した利用者さんの情報が、個人情報の問題になる。頼まれて行った業務が、実は自分の資格や契約で認められた範囲を超えていた。
こうした問題は、特別な事業者だけに起こるものではありません。ケアマネジャー、医療ソーシャルワーカー、プライベートナース、介護タクシー事業者、介助スタッフ、そして利用者と事業者をつなぐウェブサイトの運営者など、誰にでも起こり得ることです。
私は2004年から20年以上、介護タクシーの仕事を続けてきました。その中で、自社だけでは対応できない仕事をほかの事業者にお願いしたり、医療機関や介護事業所と連携したりする機会が数多くありました。
そして最近も、他社に仕事をお願いしたところ、料金や依頼内容の伝達が十分ではなく、クレームにつながる経験をしました。
もちろん、すべてのトラブルが法律問題になるわけではありません。しかし、最初は小さな認識の違いだったものが、対応次第では契約上の争いや損害賠償の問題に発展する可能性もあります。
今回は、医療・介護・福祉の仕事に携わる方々が、知らないうちに思わぬトラブルに巻き込まれないために、日頃から気をつけておきたいことを考えてみたいと思います。
「紹介しただけ」のつもりでも、トラブルと無関係ではいられないことがある
例えば、病院の医療ソーシャルワーカーが、退院する患者さんのために外部の搬送事業者を紹介したとします。患者さんのご家族は、その紹介を信頼して依頼しました。ところが、当日になって聞いていなかった追加料金が発生し、ご家族から病院に苦情が入ってしまいました。
紹介した側としては、事業者の料金まで責任を持つつもりはなかったかもしれません。一方、ご家族は「病院から紹介された事業者だから、きちんと説明されているはずだ」と考えていたのかもしれません。
ここで重要なのは、紹介したという事実だけで、直ちに紹介者が法的責任を負うわけではないということです。
しかし、紹介者が料金やサービス内容について誤った説明をしていた場合や、特定の条件を保証していた場合、契約の成立に深く関わっていた場合などは、事情によって責任が問題になる可能性があります。
例えば、「この事業者なら追加料金はかかりません」「必ず対応できます」と説明していたのに、実際には条件が異なっていたとしたらどうでしょうか。紹介先の問題だけでなく、その説明自体が争いの原因になるかもしれません。
これはケアマネジャーやMSWだけの問題ではありません。プライベートナースが別の看護師を紹介する場合や、ウェブサイトの運営者が利用者と事業者をマッチングする場合も同様です。
大切なのは、紹介することと、サービスを提供すること、契約を引き受けることを区別することです。
誰が利用者と契約するのか。誰が料金を説明するのか。サービスの内容を最終的に確認するのは誰なのか。万が一問題が起きた場合、どこが最初の相談窓口になるのか。
こうしたことを曖昧にしたまま仕事

