介護タクシーを開業するとき、意外とつまずきやすいのが「車庫」です。
「月極駐車場を借りれば大丈夫でしょう」
と思って契約を先に進めてしまうと、あとから必要書類や土地の条件、前面道路などの問題が出てくることがあります。
私自身、介護タクシー事業を長くやってきましたが、これから開業する方には、駐車場について特に次の点を確認してから契約することをおすすめします。
① 契約期間だけで判断しない
賃貸の月極駐車場を車庫として申請する場合、使用権原を証明する書類が必要になります。
ここで注意したいのが契約期間です。
たとえば、
「契約期間は1年間。ただし自動更新」
「2年契約で、その後は自動更新」
という月極駐車場は珍しくありません。
しかし、申請時に求められる使用期間を契約書だけでは証明できない場合があります。
その場合には、管理会社を通じて土地の所有者(オーナー)から、必要な期間について事業用車庫として使用することを認める「使用承諾書」などを取得する対応が必要になることがあります。
私たちが手続きをするときには、3年以上使用できることを証明する書類が必要になるケースを想定して準備しています。
大切なのは、
「自動更新だから大丈夫だろう」
と自己判断しないことです。
契約する前に、契約書の内容で使用権原を証明できるのか、追加の使用承諾書が必要なのかを確認しておくと安心です。
② 土地ならどこでも車庫にできるわけではない
もう一つ注意したいのが土地の種類です。
空いている土地を見つけて、
「ここならハイエースが何台も置ける」
と思っても、その土地をそのまま介護タクシーの車庫として使用できるとは限りません。
特に注意したいのが、田・畑などの農地です。
農地には農地法による規制があるため、「空いているから駐車場として使おう」という判断はできません。農地転用など別の手続きが関係する可能性があります。
また、市街化調整区域も注意が必要です。
市街化調整区域だから一律に車庫として使用できない、と単純に判断するのではなく、その土地で事業用車庫としての使用が可能なのか、都市計画法や自治体の取扱いを含めて事前確認が必要です。
土地を借りてから、
「介護タクシーの車庫として申請できませんでした」
では困ります。
土地の契約をする前に確認することが大切です。
③ 駐車場だけでなく「出入口」と道路を見る
ここは非常に重要です。
広い駐車場を見つけても、
そこに介護タクシーの車両が適法かつ安全に出入りできなければ意味がありません。
特にハイエースやキャラバンなどの車両を使用する場合には、駐車スペースだけを見るのではなく、
「車庫の出入口は十分か」
「前面道路の幅員は問題ないか」
「使用する車両が通行できる道路なのか」
まで確認します。
申請では、道路管理者が発行する道路幅員証明書等が必要になる場合があります。
「実際に車が通れるから大丈夫」
ではなく、申請上その道路を使用できることを確認するという考え方が必要です。
だから私は、駐車場を見るときには中の広さだけではなく、駐車場に入るまでの道路と出入口も見ることをおすすめします。
④ 「前後左右50cm」のルールは現在の基準を確認する
以前の介護タクシー・タクシーの車庫については、
「車両と車庫の境界、車両同士の間隔を前後左右50cm以上確保する」
という基準を聞いたことがある方もいると思います。
現在は基準が見直されているため、昔の情報だけをもとに駐車場を探さないことが重要です。
インターネットで介護タクシーの開業方法を検索すると、古い審査基準を前提にした情報がそのまま残っていることがあります。
これは車庫だけではありません。
介護タクシーの許可申請に関する制度や審査基準は変更されることがあります。
そのため、
「以前こうだった」ではなく、「現在どうなっているか」を確認する。
これが重要です。
駐車場は契約する前に確認する
介護タクシーを開業するとき、車両については慎重に選ぶ方が多いと思います。
ところが駐車場になると、
「月極を借りればいい」
と簡単に考えてしまうことがあります。
しかし実際には、
・使用権原を証明できるか
・契約期間に問題がないか
・必要ならオーナーから使用承諾を得られるか
・農地など土地利用上の問題がないか
・市街化調整区域などの規制に問題がないか
・車庫への出入口は問題ないか
・前面道路の幅員は足りているか
・必要な道路関係書類を取得できるか
・現在の車庫の審査基準を満たしているか
など、確認することがあります。
ですから、
「いい駐車場を見つけた。とりあえず契約しよう」
ではなく、
「この場所を介護タクシーの車庫として申請できるか確認してから契約する」
この順番をおすすめします。
車を買った。
営業所も借りた。
駐車場も契約した。
そのあとで、
「この駐車場、車庫として使えません」
となるのが一番大変です。
介護タクシーの開業では、営業所・車庫・車両を別々に考えるのではなく、最初から一つの事業計画として考えておくことが大切です。
※車庫の要件や必要書類は、申請する地域、土地の状況、道路、契約内容などによって異なる場合があります。また審査基準・運用は改正されることがあります。実際の申請では、管轄の運輸支局、自治体、道路管理者等へ最新の取扱いをご確認ください。

