介護タクシーを始めようと考えたとき、「個人事業で始める方がいいのか、それとも最初から法人にした方がいいのか」と迷う方は多いと思います。私自身は個人事業として介護タクシーを始め、その後、事業を法人化しました。その際には、介護タクシーの許可についても個人から法人へ譲渡譲受の手続きを行っています。
この経験があるからこそ、これから開業する方には、単純に「個人事業の方が安く始められるから」という理由だけで決めるのではなく、将来どのような事業にしていきたいのかまで考えて選んだ方がよいと思っています。
個人事業で始めるという選択肢
介護タクシーは、必ず法人でなければ始められない事業ではありません。自分一人で車両1台から始めたい、まずは小さくスタートしたい、実際に事業として続けていけるかを見ながら進めたいという場合には、個人事業から始める方法も十分にあります。
法人を設立する場合と比べれば、会社設立そのものの手続きや費用を抑えやすいため、開業時の負担をできるだけ小さくしたい方にとっては始めやすい形だと思います。私自身も、最初から現在のような事業規模を想定していたわけではありませんでしたので、まず個人事業としてスタートしました。
ただし、ここで知っておいていただきたいのは、個人事業で介護タクシーの許可を取得した後に法人化する場合、会社を作るだけでは終わらないということです。
法人化すると介護タクシーの許可も手続きが必要になる
私の場合、個人事業から法人へ移行した際に、介護タクシーの許可についても個人から法人への譲渡譲受の手続きを行いました。
介護タクシーの許可は、個人で取得したものを、会社を設立したからといって自動的に法人へ移せるわけではありません。個人事業として営んでいた運送事業を法人へ移すための手続きが必要になります。
この手続きを行政書士などの専門家へ依頼すれば、当然その分の費用もかかります。つまり、最初は個人事業の方が費用を抑えて始められたとしても、将来的に法人化することになれば、その時点で会社設立だけでなく、介護タクシー事業を法人へ移すための手続きや専門家への依頼費用が発生する可能性があります。
一方、最初から法人を設立し、その法人名義で介護タクシーの許可を取得していれば、後から個人から法人へ許可を移すための譲渡譲受手続きは必要ありません。将来的に法人化することがほぼ決まっているのであれば、最初から法人で始めることも十分に検討する価値があります。
大切なのは「今」ではなく「数年後」を考えること
法人か個人かを考えるとき、多くの方が開業時の費用だけを見てしまいます。もちろん最初にかかるお金は大切ですが、それだけで決めてしまうと、後から想定していなかった手続きや費用が発生することがあります。
例えば、今は自分一人で車両1台から始めるとしても、数年後には車両を増やしたい、人を雇いたい、営業所を増やしたい、自分が運転しなくても事業が回る形にしたいと考えているのであれば、最初から法人で始めるという選択肢もあります。
反対に、今後も自分一人で運転を続け、車両も1台のままで事業を行う予定であれば、個人事業のまま続ける方法もあります。どちらが正しいということではなく、自分がどのような介護タクシー事業を作りたいのかによって答えは変わります。
私なら、開業時点のことだけではなく、まず5年後の姿を考えてみることをおすすめします。5年後に自分一人で運転しているのか、従業員を雇っているのか、車両を何台持っているのか、自分自身がドライバーを続けているのか、それとも経営や管理に回っているのか。こうした将来像をある程度考えることで、個人事業で始めるのか、最初から法人にするのかという判断もしやすくなります。
私自身は個人事業から法人へ変えた
私自身は個人事業として介護タクシーを始め、事業が成長していく中で法人化しました。そのため、会社設立だけでなく、個人で持っていた介護タクシーの許可を法人へ移すための譲渡譲受の手続きも経験しています。
振り返ってみれば、もし開業当初から将来の事業規模が見えていて、最終的に法人化することが分かっていたのであれば、最初から法人で始めるという選択肢もあったと思います。
ただ、開業するときには先のことまで分からない場合もあります。まず一人で始めて、仕事を増やし、少しずつ車両や人を増やした結果として法人化するという流れも、決して間違いではありません。私自身も、その時々で必要な選択をしながら事業を続けてきました。
だからこそ、これから始める方には「個人事業がいい」「法人がいい」と一律に決めつけるのではなく、それぞれの違いを知ったうえで、自分が作りたい事業に合った形を選んでほしいと思います。
まとめ
介護タクシーを個人事業で始めるか、法人で始めるかに絶対的な正解はありません。個人事業は比較的小さく始めやすい一方で、後から法人化する場合には、会社設立だけでなく、介護タクシー事業を個人から法人へ移すための譲渡譲受などの手続きが必要になります。
専門家へ依頼すれば、その手続きにも費用がかかります。最初から法人名義で介護タクシーの許可を取得していれば、後から個人から法人へ移すための手続きは必要ありません。
そのため、開業前に考えてほしいのは、「どちらが今安いか」だけではありません。これから何台まで車両を増やしたいのか、人を雇う予定があるのか、自分がいつまで運転を続けたいのか、将来どのくらいの規模の事業にしたいのか。そこまで考えたうえで選ぶことが大切です。
私は個人事業からスタートし、その後法人化しました。その経験があるからこそ、これから開業する方には、目の前の開業費用だけではなく、数年後の事業の姿まで考えて法人か個人かを決めてほしいと思っています。

