通院・外出支援では何ができる?対象となる方と利用できる場面を解説
通院や買い物、施設への送迎、旅行など、私たちの生活にはさまざまな「移動」があります。
しかし、高齢や障害、病気、けがなどにより、一人での外出が難しい方にとっては、目的地まで移動することだけでなく、
- 自宅から車まで移動する
- 車に安全に乗り降りする
- 病院内を移動する
- 外出先で見守りを受ける
- 必要な荷物や福祉用具を持って移動する
といった一連の行動が大きな負担になることがあります。
通院・外出支援は、単に車で目的地まで送迎するだけではありません。利用される方の身体状況や外出目的に合わせて、移動前後の介助、付き添い、見守りなどを組み合わせ、安全な外出を支えるサービスです。
この記事では、通院・外出支援でできること、対象となる方、実際の利用場面について解説します。
通院・外出支援とは
通院・外出支援とは、一人で公共交通機関や一般タクシーを利用することが難しい方に対し、外出に必要な移動や介助を提供するサービスです。
事業者によって対応範囲は異なりますが、次のような支援があります。
- 自宅や居室から車両までの移動介助
- 車いすや歩行器を使用した移動
- 車両への乗降介助
- 目的地までの送迎
- 病院受付までの付き添い
- 院内での移動や受診の付き添い
- 外出先での見守り
- 買い物や手続きの補助
- 車いすや荷物の取り扱い
- 帰宅時の居室までの介助
必要な支援内容は、その方の身体状況や認知機能、外出先の環境によって異なります。
「車で送ってもらえれば大丈夫」という方もいれば、自宅を出るところから帰宅するまで、継続した付き添いが必要な方もいます。
どのような方が対象になるのか
通院・外出支援は、車いすを使用している方だけが対象ではありません。
歩ける方であっても、次のような事情から利用されることがあります。
歩行や乗り降りに不安がある方
- 長い距離を歩くことが難しい
- 杖や歩行器を使用している
- 段差や階段に不安がある
- 車への乗り降りに介助が必要
- 転倒の危険がある
車いすを使用している方
- 車いすのまま乗車したい
- 折りたたみ車いすを持って移動したい
- 自宅から車両まで介助してほしい
- 外出先でも車いすを使用したい
認知症や知的障害などにより見守りが必要な方
- 一人で目的地まで移動することが難しい
- 受診内容を家族へ伝えることが難しい
- 環境の変化に不安を感じやすい
- 外出中に継続した声かけや見守りが必要
- 公共交通機関の利用が難しい
病気やけがの影響がある方
- 退院後で体力が落ちている
- 手術後で歩行に不安がある
- 酸素などの機器を使用している
- 座った姿勢を長く保つことが難しい
- 通院時に家族だけでは対応が難しい
ご家族の付き添いが難しい方
- 家族が仕事で付き添えない
- 遠方に住んでいる
- 家族も高齢で介助が難しい
- 車いすや荷物を同時に扱うことが難しい
- 外出先での介助に不安がある
要介護認定や障害者手帳の有無にかかわらず、自費サービスとして利用できる場合もあります。
利用される方は何に困っているのか
外出に困っている方の悩みは、単に「車がない」ということだけではありません。
一般タクシーでは対応が難しい
一般タクシーは目的地までの移動には便利ですが、車いすのまま乗車できない、乗降介助や室内介助に対応していないなど、利用者の状態によっては利用が難しいことがあります。
公共交通機関の利用が負担になる
駅までの移動、階段、乗り換え、人混みなどは、身体機能が低下している方や障害のある方にとって大きな負担になります。
病院内の移動に不安がある
病院へ到着した後も、受付、診察室、検査室、会計、薬局など、院内で多くの移動が必要になることがあります。
送迎だけではなく、病院内での付き添いを必要とする方も少なくありません。
外出先での見守りが必要
知的障害、発達障害、認知症などがある方は、慣れない場所や大勢の人がいる環境で、不安や混乱が生じることがあります。
そのため、移動だけでなく、外出先での見守りや声かけが必要になります。
家族だけでは安全に対応できない
車いす、荷物、本人の介助を同時に行うことは、ご家族にとって大きな負担です。
階段や段差がある場合、無理に介助すると利用者と家族の双方がけがをする危険があります。
通院支援でできること
通院は、通院・外出支援の代表的な利用場面です。
自宅から病院までの送迎
自宅や施設まで迎えに行き、必要に応じて玄関や居室から車両まで介助します。
歩行、車いす、リクライニング車いすなど、その方の状態に合わせた移動方法を選びます。
病院受付までの付き添い
車両を降りた後、病院の受付や診療科まで付き添います。
広い病院では、車寄せから受付までの移動だけでも負担になることがあります。
院内付き添い
事業者によっては、次のような院内支援に対応します。
- 受付
- 診察室までの移動
- 検査室への付き添い
- 会計
- 院外薬局への移動
- 診察終了までの待機
ただし、診察内容の判断や医療行為はできません。
受診後の帰宅支援
診察後に迎えに行き、自宅や施設まで送迎します。
利用者の顔が分かりにくい場合や、呼びかけに答えることが難しい方の場合は、病棟や受付、家族、施設職員との連携が重要になります。
買い物や日常生活の外出支援
通院以外にも、日常生活に必要な外出に利用できます。
買い物
- スーパーマーケット
- 商業施設
- 衣料品店
- 福祉用具店
- 家電量販店
店内付き添いに対応できる場合は、商品の確認や移動の補助を受けられます。
ただし、家財道具などを運ぶことが目的の運送には対応できない場合があります。
行政・金融機関への外出
- 市役所・区役所
- 年金事務所
- 銀行
- 郵便局
- 各種手続き窓口
書類手続きのための移動や付き添いとして利用されます。
理美容
美容院や理容室への外出にも利用できます。
車いすで入店できるか、店内に段差がないかなど、事前に確認しておくと安心です。
障害者施設の外出イベント支援
障害者施設や福祉施設では、利用者の社会参加や余暇活動を目的として、さまざまな外出イベントが行われます。
主な外出イベント
- 公園への外出
- 動物園や水族館
- 博物館や美術館
- 映画鑑賞
- 外食
- 買い物
- 地域のお祭り
- 季節行事
- レクリエーション
- 日帰り旅行
こうした外出では、通常の送迎だけでなく、複数名の利用者、車いす、福祉用具、職員の同乗などを考慮した計画が必要です。
支援できる内容
- 複数車両による送迎
- 車いす利用者の乗降介助
- 利用者ごとの座席調整
- 施設職員との行程確認
- 往路・復路の時間調整
- 外出先での車両待機
- 複数拠点への送迎
- 介助員や付き添いスタッフの手配
イベントの規模や利用者の状態によっては、事前の打ち合わせや現地確認が必要になります。
地域作業所・障害福祉施設への送迎
地域作業所や生活介護事業所、就労継続支援事業所などへの定期送迎にも利用できます。
このような場面で利用されます
- 自宅から作業所までの送迎
- グループホームから施設までの送迎
- 複数の利用者を乗せる乗合送迎
- 決まった曜日・時間の定期運行
- 車いす利用者を含むルート送迎
- 家族が送迎できない日の代替
定期送迎で重要なこと
定期送迎では、単発利用とは異なり、継続して安全に運行できる仕組みが必要です。
- 利用者ごとの乗車場所
- 乗車順
- 施設到着時間
- 車いす固定の有無
- 発作や体調変化への対応
- 欠席時の連絡方法
- 保護者や施設職員との連携
- 緊急時の連絡先
利用者の特性を事前に共有し、毎回同じ流れで対応することで、不安を減らすことができます。
冠婚葬祭への外出支援
結婚式、葬儀、法事など、家族にとって大切な行事への外出にも利用できます。
対応例
- 自宅から式場までの送迎
- 車いすのまま参列
- 会場内への移動介助
- 長時間の車両待機
- 行事終了後の帰宅
- 親族と一緒に乗車
- リクライニング車いすの使用
会場の段差、駐車場所、待機時間などを事前に確認することが大切です。
「身体が不自由だから参加を諦める」のではなく、必要な支援を組み合わせることで参加できる場合があります。
お墓参りの支援
お墓参りは、車いすを使用している方や歩行に不安がある方から多く相談される外出の一つです。
墓地は、坂道、砂利道、段差が多く、一般的な施設より移動が難しいことがあります。
確認したいこと
- 墓地内に車両が入れるか
- 駐車場からお墓までの距離
- 坂道や階段の有無
- 車いすで通れる道幅か
- 現地での介助が必要か
- 滞在時間
- 雨天時の対応
必要に応じて、複数名での介助や介助用車いすの準備を検討します。
旅行・観光の付き添い
通院・外出支援は、病院や施設への移動だけではありません。
旅行や観光など、生活の楽しみにつながる外出にも利用できます。
利用例
- 温泉旅行
- 家族旅行
- 観光地巡り
- 故郷への帰省
- ホテルや旅館への送迎
- 空港や駅までの移動
- 日帰り旅行
- 長距離移動
旅行で支援できる内容
- 自宅から目的地までの送迎
- 車いすやストレッチャーの手配
- 観光地での移動介助
- 食事や休憩時の見守り
- 宿泊先までの付き添い
- 長距離移動時の休憩計画
- 福祉車両での貸切運行
- 必要に応じた介助員や看護師の手配
旅行前に確認すること
旅行では通常の通院よりも長時間の移動になるため、事前確認が重要です。
- 主治医から旅行を止められていないか
- 長時間の座位が可能か
- 酸素や医療機器が必要か
- 食事や服薬の時間
- トイレ介助の必要性
- 宿泊先のバリアフリー環境
- 入浴介助の必要性
- 体調変化時の対応方法
- 近隣の医療機関
利用者の状態によっては、介護職員だけでなく看護師の同行が必要になることがあります。
旅行や外出の付き添いでできないこと
外出支援には、対応できる範囲とできない範囲があります。
一般的に、次のような行為はできない、または資格や条件が必要です。
- 医師の指示が必要な医療行為
- 看護師資格が必要な医療的処置
- 大量の家財道具や引っ越し荷物の運搬
- 救急車のような緊急走行
- 病状が不安定な方の医療管理なしでの搬送
- 施設や医療機関の業務そのものの代行
必要な支援が介護の範囲を超える場合は、看護師、医療機関、旅行会社などとの連携が必要です。
サービスによって料金が異なる理由
通院・外出支援は、一般タクシーより料金が高くなる場合があります。
これは、目的地までの運賃だけでなく、次のようなサービスが加わるためです。
- 乗降介助
- 室内介助
- 車いすやストレッチャー
- 複数名での介助
- 階段対応
- 院内付き添い
- 外出先での待機
- 貸切時間
- 長距離運行
- 事前の運行計画
- 介助員や看護師の手配
予約時には、運賃だけではなく、介助料金、機材料金、待機料金などを含めた概算を確認しておくと安心です。
予約時に伝えること
適切な車両や人員を準備するため、予約時には次の内容を伝えます。
利用者の状態
- 歩行できるか
- 立ち上がりができるか
- 座位を保てるか
- 車いすを使用しているか
- 認知症や障害による見守りが必要か
- 医療機器を使用しているか
- 体調変化の可能性があるか
外出内容
- 出発地と目的地
- 出発・到着希望時間
- 片道か往復か
- 現地での待機時間
- 付き添いが必要な範囲
- 外出先で行うこと
- 同乗者の人数
建物や移動環境
- 階段・段差の有無
- エレベーターの有無
- 車いすが通れるか
- 車両の駐車場所
- 施設側の受け入れ場所
- 外出先のバリアフリー状況
外出支援は「行きたい」を支えるサービスです
通院・外出支援は、医療機関への移動だけを目的としたものではありません。
- 病院に行きたい
- 作業所へ通いたい
- 家族行事に参加したい
- お墓参りに行きたい
- 旅行に行きたい
- 買い物を楽しみたい
- 地域のイベントに参加したい
こうした希望を、身体状況や生活環境に合わせて実現するための支援です。
移動に不安があるからといって、外出そのものを諦める必要はありません。
どのような移動方法や支援が必要かを事前に整理し、対応できる事業者へ相談することで、安全に外出できる可能性が広がります。
まとめ
通院・外出支援は、車いす利用者や寝たきりの方だけではなく、歩行、乗り降り、見守り、付き添いなどに不安がある幅広い方を対象としています。
主な利用場面には、次のようなものがあります。
- 通院や院内付き添い
- 入退院時の移動
- 買い物や行政手続き
- 障害者施設の外出イベント
- 地域作業所や福祉施設への定期送迎
- 冠婚葬祭
- お墓参り
- 旅行や観光
- 帰省
- 空港や駅への送迎
大切なのは、単に「送迎できるか」だけではなく、外出の最初から最後まで、どのような支援が必要かを考えることです。
利用者の状態、目的地、必要な介助を具体的に伝えることで、より安全で安心な外出支援につながります。
