移動サポートネットワーク
移動できないから、諦めている人がいる。
それを、当たり前にしたくなかった。
介護タクシーの現場に立ち続けて、気づいたことがあります。医療や介護のサービスは整っているのに、「移動できない」というただ一つの理由で、必要な支援にたどり着けない人が確実に存在する、ということです。退院できても帰れない。通院したくても行けない。外出したい気持ちがあるのに、あきらめるしかない。この現実を変えるには、一つの事業者や職種の努力だけでは限界があります。関わるすべての人が実際に顔を合わせ、つながることが必要だと確信して、このネットワークを立ち上げました。
情報は検索できる。でも、信頼は会わないと生まれない。
「介護タクシー」はネットで検索すれば出てきます。「ケアマネジャー」も「医療ソーシャルワーカー」も、名前くらいは知っています。
でも、いざというときに「あの人に電話しよう」と思える関係は、検索では手に入りません。一度でも同じ場に座って話したことがある。顔と名前が一致している。どんな想いで仕事をしている人かを知っている。——そういう関係だからこそ、「ちょっと相談していいですか」の一本の電話が生まれます。その一本が、患者さんの退院を動かし、利用者の外出を実現させ、事業者への依頼につながっていくのです。
移動サポートネットワークが大切にしているのは、この「直接会うこと」の積み重ねです。
あなたの現場でも、こんなことが起きていませんか?
介護タクシー事業者
依頼はあるはずなのに、なかなか来ない
支援職との関係で紹介ルートが生まれ稼働が安定する
パンフレットを置いても「顔の見えない事業者」のままです。一度でも直接会えば「あの介護タクシーの人」になります。信頼される存在になることが、継続的な依頼への最短ルートです。
ケアマネジャー
移動手段を聞かれても、どこに頼めばいいかわからない
顔の見える紹介先ができ、ケアプランが完結する
「あの人なら大丈夫」という安心感は、会ったことがあるからこそ生まれます。このネットワークで出会った事業者への紹介は、単なる情報提供ではなく、信頼のパスになります。
医療ソーシャルワーカー
退院調整の最後で移動手段が見つからず詰まる
急場に動ける関係があり、退院支援が止まらなくなる
急を要する場面ほど、普段からの関係が力を発揮します。このネットワークで築いた関係は、困ったときの「使える一本線」になります。在院日数の問題も、人のつながりが解決します。
介護・福祉サービス事業者
「送迎ができない」という理由でサービス利用を断念されてしまう
移動の壁がなくなり、サービスを届けられる人が増える
移動支援事業者と顔の見える関係があれば、その選択肢がなくなります。連携は契約や制度の話より先に、人と人の関係から始まります。
- 介護タクシー —— 顔の見える支援職からの紹介で、稼働が安定する
- ケアマネジャー —— 「あの人に頼める」という確信が生まれ、ケアプランが完結する
- 医療ソーシャルワーカー —— 急場に動ける関係があり、退院支援が止まらなくなる
- 介護・福祉事業者 —— 移動の壁がなくなり、サービスを届けられる人が増える
違う立場の人と話すと、仕事の見え方が変わる。
介護や医療・福祉の現場で働く人には、職種を問わず共通する悩みがあります。利用者のことを真剣に考えるほど、制度の壁にぶつかる。一人で抱えていても答えが出ない問題がある。もっとうまくやれるはずなのに、その方法が見えない。——そんな感覚を、誰もが多かれ少なかれ持っているはずです。
このネットワークに集まるのは、同じ職種のプロだけではありません。ケアマネが介護タクシー事業者の話を聞いて「そんな視点があったか」と気づく。MSWが訪問看護師の現場の工夫を聞いて、自分の支援に活かす。普段の職場では出会えない「違う現場の話」が、自分の仕事の閉塞感を破るヒントになることがあります。
さらに、仕事の視野が広がると、生活の見え方も変わっていきます。「この人はこんな働き方をしているのか」「こういう視点で地域を見ていたのか」——そうした気づきの積み重ねが、仕事への向き合い方と日々の充実感を少しずつ変えていきます。このネットワークは業務上の連携を深める場であると同時に、来るたびに少しだけ違う自分で帰っていただける場でもありたいと考えています。
移動の問題を「個人の努力」で解決しようとする時代は終わりにしたい。地域の支援職と事業者が日常的につながり、困ったときにすぐ動ける関係をつくることが、移動で困る人を地域に残さない社会への第一歩だと考えています。
「病院に行く移動」だけでなく、
「行きたい場所に行ける移動」を
あたりまえにしたい。
移動は手段ではなく、生きることそのものだと私たちは考えています。体が不自由になっても、年を重ねても、「行きたい場所に行ける」選択肢が地域に存在する社会を、このネットワークから育てていきたいのです。
つながることで、何が変わるか
Before — 今の孤立状態
情報が届かず
連携先も分からない
- 退院後の移動手段を患者自身が探す
- ケアマネが介護タクシーを紹介できない
- MSWの退院支援が移動問題で詰まる
- 介護タクシーは認知されず待ちが続く
After — つながった状態
顔の見える関係が
支援の質を上げる
- 退院時にすぐ介護タクシーを紹介できる
- MSWが移動込みで退院支援を完結できる
- 介護タクシーの紹介ルートが安定・拡大
- 利用者が必要な支援に確実につながる
参加しているメンバー
介護タクシー事業者
支援職との関係構築で安定した紹介ルートを確保し稼働率が向上
ケアマネジャー
移動手段の紹介先が明確になり、退院・外出支援の選択肢が広がる
医療ソーシャルワーカー
退院支援で詰まっていた移動問題をネットワークで解決できる
訪問看護・介護事業者
移動支援とのセット提案で利用者の生活を包括的にサポートできる
地域包括支援センター
地域の移動資源を把握し、必要な人に適切な支援をつなげられる
患者等搬送・自費サービス
制度の隙間を埋めるサービスとして地域に認知され、活用される
